ピンクリボン月間に思うこと2009/10/05 19:22

10月1日、ピンクリボン月間が始まりました。
その日、このブログと会のホームページには
普段にはないほど多くの方が訪れてくれました。
「筋のとおったピンクリボンを!」とうったえている立場としては
何かアピールを書いておくべきだったかなぁ。

でも、このブログと会のホームページを立ち上げてから
言いたいことは、くどいぐらい言ってきましたしね。
一生懸命活動している方たちを否定したり
足を引っ張るようなことはしたくないという思いもあって
何もせずにいましたが
今日は遅まきながら、ピンクリボン月間に思うこと
ピンクリボンに望むことを書かせていただきます。

一言でいえば

患者にも優しいピンクリボンであってほしい

それだけです。

ピンクリボンは、乳がんという病についての啓発活動のはず。
検診率さえあがれば目標達成というわけにはいきません。

今、20人に1人が乳がんになると言われています。
100人が検診をうければ、5人の患者が見つかる計算です。
その5人が、こんなはずじゃなかったと
不要な悲しみに暮れることがないよう、配慮してほしいのです。

※10/21訂正:「20人に1人」の数字は、「一生涯で乳がんにかかる人」の割合でした。ですので、単年度で検診を受けて乳がんが見つかる人はもっと少なく、「1万人受診して、乳がんの確定診断を受けるのは23人」だそうです(日本対がん協会HPより)。ここにお詫びして訂正します。

病気が見つかってからの医学的・社会的サポートも検討していただきたい。
乳がんという病気に対する誤解や偏見がなくなるよう
正確な情報を流していただきたい。

以前、ブログにも書きましたが、ピンクリボン運動をおこなう団体のブログに
次のようなコメントがありました。

「仕事の関係上、去年からピンクリボン運動に参加してます。(中略)女性は何時までも女性としていられるためにも「胸」って大事だと思います、事務局の方!がんばってください!」

病気が見つかった患者は、命を守るために
胸にメスを入れてもらい、放射線をあてます。
それを知っていれば、このような言葉は出てこないはず。

なのにいまだに
「女性、母性の象徴でもあるバスト」といった表現が
一部のピンクリボン運動にたずさわる人々によって使われています。

そうではなく
「たとえ胸に傷があろうと、ふくらみがなかろうと
 乳首をなくそうと、シリコンを入れようと、あなたはあなた、輝いている」

励ますような言葉を、ぜひとも発していただきたい。
そういう優しさのある社会なら、患者はずいぶん生きやすくなります。

上記のような無神経な表現に
乳がん患者全体の1%と言われる男性患者も
(がんナビの男性乳がん患者に関する記事はこちら
どれだけ傷ついていることかと思います。

また、「乳がんをなくす○○基金」という表現。
検診率がアップしても、乳がんはなくなりません。患者はむしろ、ふえるのです。
乳がんをなくすことが目的であれば、
治療・予防の研究に今以上に力を入れていただきたい。

これだけ低迷している検診率をあげるには
多少、センセーショナルなやり方もやむをえないという考えには
自分が体験者だからかもしれませんが
正直、どうしても違和感をおぼえます。

ピンクリボンは、今健康な人を対象にした早期発見のための啓発活動であり
しょせん、患者は部外者なのだと思っている人も大勢います。
でもわたしは、これから病気が見つかるかもしれない人が
少しでも気持ちよく治療生活やその後の人生を送れるよう
患者にも優しいピンクリボンが常識になってほしい
そう願っています。

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今朝の子宮頸がんの記事2009/09/22 16:28

今朝の朝日新聞朝刊に、子宮頸がんの記事が出ていました。
そこに、思わず「これこれ!こういうのが欲しかったのよ!」と
ひざを叩き、記事を切り抜かずにいられない記述が。
「子宮頸がん 検診率2割」「早期発見なら部分切除」という見出しの記事です。

「子宮頸がん検診は、確実に実施すれば死亡率を大幅に減らせる」として
次のような報告が紹介されていました。

名古屋大などの研究グループの報告(06年)によると、国内45市町村で88~03年の間、受診者と未受診者、計約6万人の子宮頸がんによる死亡率を比較した結果、受診者の死亡率は、未受診者より7割も少なかった。

先日、わたしが意見メールを送った記事も
早期発見のための検診の重要性を説くのであれば
その根拠となるような、こういうデータを示してほしかったのです。

意見を送った問題の文章は、記事の見出し文にあったものですが
ほぼ1面すべてをつかった他の記事は
患者と医師のコミュニケーションをテーマにした、
アグネス・チャンと主治医の先生の対談と
10月に予定されているピンクリボンフェスティバルの情報です。
そういう内容であれば、それに見合った見出し文で済ませればいいのであり
そうではなく、「検診を受けましょう」と言いたいのであれば
あのような、「検診を受けない人が死んでます」といった書き方をするのでなく
検診の意義を示す具体的データ、情報を示すべきだったのではないかと
しつこいですけど、そう思います。

乳がんの集団マンモ検診については
過剰診断
=発見されなければ症状が出ず、死亡原因にならなかったがんが見つかること
の割合が、3人に1人にまでのぼっている
先月、海外の報告が紹介されています。
(がんナビに紹介記事があります。◆こちら◆

この報告も、子宮頸がんの報告も、どう読み取ってどこまで信じればいいのか
決して数字をそのまま鵜呑みにしてはいけないとは思いますが
医療はつねに発展途上であり、データの積み上げを頼りにするしかないはず。
データが提示されてこそ、受け手もあれこれ考えることができ
次へ進めるんではないかと、あらためて感じました。

そんなことを考えている今日この頃なので
今度の日曜日、キャンサーネットジャパンが開くセミナー
「もっと知ってほしいがんの臨床試験・治験のこと」
ぜひ参加して話を聞きたいと思っています。
(セミナーの情報は◆こちら◆

日本のがんに関する臨床試験・治験はとても遅れていると聞きますが
感情や思い込みに走らず、少しでもより良い医療をめざすには
欠かせないことですもんね。

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朝日新聞、その後2009/09/19 16:57

前回、朝日新聞に抗議の意見メールを送ったことを書きましたが
その後のご報告です。

メールを送った翌々日、広報部から返事が届きました。
不快な思いをさせたことについて丁寧な謝罪はありましたが
こちらとしては、患者の心情に配慮してほしいのももちろんだけれど
事実に基づかない情報が掲載されたことについて、一般読者の誤解を招きかねない
よって訂正をお願いしたいというのが一番言いたいことだったので
その旨、再度メールをお送りし、訂正掲載の検討をお願いしました。

その数日後、今度は医療部の方からお電話をいただき
昨日の金曜日、直接会って話を聞いていただくことができました。

その席で、ピンクリボンが患者に背中を向けていると思えてならないことや
新聞であれば、検診率をあげたいがためにあのような言い方をするのではなく
「がん」という病気について正しい情報をもっと発信してほしいこと
その際には、裏付けとなるデータをしっかり検証し
事実にもとづく報道をしてほしいこと、などなど
あれやこれや、たっぷり2時間以上お話しました。

こういうことには不慣れなもので
あれも話したい、これも言いたいみたいになっちゃって
どこまできちんと伝わったか、不安な部分もありますが
先方からは、今日聞いた話にはもっともだと思える部分も多々あるので
いつとは約束できないものの、何らかの形で記事にできないか検討したい
そのために時間をもらいたいというお言葉をいただきました。

まだ、これがどのように生かされるか分からない部分はありますが
意見メールを送った一介の患者のために
はるばる会いに来てくださって
直接顔を合わせてお話できたことは、大きな収穫でした。
この場を借りてあらためて、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

このブログで再三、記事を引用させてもらっているように
わたしはなんとなくではありますが、親の代から朝日の購読者です。
(これまたなんとなくですが、HPもブログも、アサヒネット(笑))
そういえば、高校生の頃「声」欄に投書して、図書券か何かもらったっけ。

読み慣れているので、他紙に乗り換えることもなく来ていますが
いずれにせよ、わたしは新聞の力をまだまだ信じている人間です。
インターネットでニュースが手軽に手に入る時代ですし
新聞を取らない人が増えているとも聞きますが
テレビや週刊誌がなかなか書けないような話題でも
新聞なら書けるといったことがあると思うんです。
特に、とかく病気の話は暗いからと敬遠されがちであることを思うと
新聞屋さんには頑張っていただきたいと期待しています。
素人患者ながら、今言いたいことを、精一杯お伝えしたつもり。
これが今後の記事に何らかの形で反映されたらいいなと心から祈っています。

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朝日新聞に抗議の問い合わせ2009/09/10 01:33

こんなに頻繁に更新するつもりではなかったのですが(笑)
昨日、朝日新聞を読んでいて、驚くような表現を目にし
黙って放置しておくわけにはいかないと考え
抗議の問い合わせをしました。
とりいそぎ、その内容をここに載せて、ご報告だけ。

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2009年9月9日朝刊 12版p.31掲載 ピンクリボンフェスティバルの記事について

わたしは術後2年になる乳がん体験者です。
この記事の冒頭の文章に強い違和感と不快感をおぼえ、問い合わせをさしあげました。

「早く見つかれば、高い確率で治ると言われる乳がん。一方で、検診を受けなかったばかりに発見や治療が遅れ、毎年1万人を超える人が亡くなっている」という下りです。

この文章は日本語として、毎年亡くなっている1万人の人々が
検診を受けなかったばかりに発見や治療が遅れた人間だと受け取れると思うのですが
それは大きな事実誤認だと考えます。
毎年検診を受けていても、乳がんが見つかった時にはすでにリンパ節に転移していたり
さらにはステージ4(他臓器への転移あり)だったという人もいることは
少し調査・取材すれば分かることだと思います。
また、毎年亡くなっている1万人の方たちは、
ステージ1、2でも5年、10年後の生存率が100%ではない事実が示すとおり
発見・治療が遅れた人ばかりではありません。
要するに、検診を受けていても発見・治療が遅れることもあり
発見・治療が充分早くても、亡くなる方はいるのです。
にもかかわらず、その3つを乱暴につなげた文章に
現在治療にあたっている乳がん患者への配慮のなさと
検診率アップを目指すあまり脅しをかけるような口調になっている安易さが感じられ
とても不愉快に思いました。
乳がんを体験した者として
しこりがこぶし大の大きさになるまで気づかない、あるいは放置している人が減って
この病気で悲しむ人が減ってほしいと願っていますし
そのための啓発活動は大切だと考えますが
ピンクリボンフェスティバルを推進してきた御社がこのような言い方をなさることに
深い失望を覚えました。
10月のピンクリボン月間が来る前に
紙面上でこの文章に関して適切な形で訂正をしていただきたいと強く願います。
なおわたしは、昨年、講談社の雑誌『グラマラス』が行った
ピンクリボン・キャンペーンに疑問を感じて抗議の署名活動を行った者です。
そういった経緯もあり、今回のような記事に対し
どうしても意見を述べさせていただきたいと思った次第です。
署名活動については、今年1月
ピンクリボンフェスティバル事務局の○○さまにもご報告をさしあげ
ご丁寧にお返事をいただきました。
誠意ある対応をよろしくお願いいたします。

あれから1年2009/03/07 14:21

今日は3月7日。
「10 WOMEN」を別冊付録とするグラマラス3周年記念号が発売されたあの日から
1年がたちました。


長かったような、短かったような。

いずれにせよ、私にはとてつもなく濃い1年でした。
ただ、私個人は最初呆然とするばかりで
講談社に抗議のメールこそ入れたものの、動き出すのは遅れたんですがね。
最近になって、発表直後に盛んに行動したある友人の日記を
あらためて読ませてもらいました。
編集部に抗議の電話を入れて、乳がん患者の実態について長時間語るなど
脱帽の行動力です。
日記につけられた数々のコメントからは
あの時の驚きと怒りがひしひしと伝わってきました。

それに続く6月からの署名活動、今年に入っての手紙発送プロジェクトは
ピンクリボンというもののあり方について
ほんとに小さなさざ波しか起こせなかったかもしれませんが
一石を投ずるものであったと思います。

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ピンクリボンは今、岐路にたっているように思います。
世間的にはようやく「ピンクリボンとは乳がんに関係したシンボルらしい」と
知れ渡ってきた段階でしょうか。

検診率はなかなか伸びないようですが
「社会貢献事業」の一環としてピンクリボンを掲げて活動したり
ピンクリボン商品を販売する企業はどんどん増えている様子。
お手紙を送った企業団体だけで、300件近いんですから。

一方で、がん対策基本法が施行されるなど
がん患者を取り巻く環境もかわりつつあります。
2、3人に1人ががんになると言われる現在
「がんになったら終わり」ではなく
がんという病を抱えながらも、できる限り普通に快適に暮らせるよう
サポートしていこうという動きも、盛んになってきています。

そうしたなか、ピンクリボン運動の窓口となる団体
企業などから寄付を受け、乳がんの啓発活動に従事している団体のあり方が
重要なポイントになってくる気がします。

昨年末、そんなことを思いながら
会のホームページのリニューアルを行っていたら
朝日新聞に興味深い記事が出ていました。

12月30日と31日、上下2回にわけて掲載された
「乳がんとたたかう ――日米のピンクリボン運動」という記事です。
(5年前から乳がんの取材を始めたという岡崎朋子記者の署名記事)
これが、それぞれ紙面の4分の1ぐらいあるよな大きい記事で
前半はアメリカの状況について、後半は日本の状況について
くわしく紹介されているんです。

なんだかびっくりしてしまいました。
ピンクリボンに目覚めて(?)たかだか1年の私ですから不確かですが
ピンクリボンについてあそこまでくわしく書かれた記事は珍しいのでは?
だいたい、「ピンクリボン=乳がん」ぐらいの知識が一般的でしょうに
あそこに書かれた内容、その意味を理解できる読者がどれぐらいいるのでしょう。
(そういう意味じゃ、記事に出て来たたくさんの団体名をすべて理解できた自分にも
 ああ、1年で成長したものだと感慨深いものがあったんですが。でへへ)

もう1つ不思議だったのは、朝日新聞の記事であれだけ団体名が出てくるのに
「日本対がん協会」にも、さらには「ほほえみ基金」にも
一言も触れられていないこと。
朝日のピンクリボンフェスティバル事務局については
「日本のピンクリボン」という囲みの解説に
  「東京で「ピンクリボンフェスティバル」(朝日新聞社など主催)を
   開催したころから広がってきた」
と間接的に触れてはいるんですが。

不思議な記事だなぁと思いつつ、手紙発送プロジェクトで手一杯で
ブログで紹介する余裕もないまま時間がたってしまいました。
ですが今回、1周年記念(??)にあたってあらためて記事を読んでみて
(「ほほえみ基金」に言及していないのは不自然ながら)
アメリカと日本それぞれのピンクリボンを取り巻く現状や
今後の課題、問題点がきわめて的確にまとめられているように感じました。

この記事、アサヒコムにも掲載されていたのですが
今回確認したら、すでに削除されていました。
でも、ピンクリボンに関心のある方には、ぜひ読んでいただきたい。
友人が「魚拓」に取ってくれたので、そのリンク先を貼っておきます。

  上:アメリカ編は◆こちら◆
  下:日本編は◆こちら◆