今朝の子宮頸がんの記事2009/09/22 16:28

今朝の朝日新聞朝刊に、子宮頸がんの記事が出ていました。
そこに、思わず「これこれ!こういうのが欲しかったのよ!」と
ひざを叩き、記事を切り抜かずにいられない記述が。
「子宮頸がん 検診率2割」「早期発見なら部分切除」という見出しの記事です。

「子宮頸がん検診は、確実に実施すれば死亡率を大幅に減らせる」として
次のような報告が紹介されていました。

名古屋大などの研究グループの報告(06年)によると、国内45市町村で88~03年の間、受診者と未受診者、計約6万人の子宮頸がんによる死亡率を比較した結果、受診者の死亡率は、未受診者より7割も少なかった。

先日、わたしが意見メールを送った記事も
早期発見のための検診の重要性を説くのであれば
その根拠となるような、こういうデータを示してほしかったのです。

意見を送った問題の文章は、記事の見出し文にあったものですが
ほぼ1面すべてをつかった他の記事は
患者と医師のコミュニケーションをテーマにした、
アグネス・チャンと主治医の先生の対談と
10月に予定されているピンクリボンフェスティバルの情報です。
そういう内容であれば、それに見合った見出し文で済ませればいいのであり
そうではなく、「検診を受けましょう」と言いたいのであれば
あのような、「検診を受けない人が死んでます」といった書き方をするのでなく
検診の意義を示す具体的データ、情報を示すべきだったのではないかと
しつこいですけど、そう思います。

乳がんの集団マンモ検診については
過剰診断
=発見されなければ症状が出ず、死亡原因にならなかったがんが見つかること
の割合が、3人に1人にまでのぼっている
先月、海外の報告が紹介されています。
(がんナビに紹介記事があります。◆こちら◆

この報告も、子宮頸がんの報告も、どう読み取ってどこまで信じればいいのか
決して数字をそのまま鵜呑みにしてはいけないとは思いますが
医療はつねに発展途上であり、データの積み上げを頼りにするしかないはず。
データが提示されてこそ、受け手もあれこれ考えることができ
次へ進めるんではないかと、あらためて感じました。

そんなことを考えている今日この頃なので
今度の日曜日、キャンサーネットジャパンが開くセミナー
「もっと知ってほしいがんの臨床試験・治験のこと」
ぜひ参加して話を聞きたいと思っています。
(セミナーの情報は◆こちら◆

日本のがんに関する臨床試験・治験はとても遅れていると聞きますが
感情や思い込みに走らず、少しでもより良い医療をめざすには
欠かせないことですもんね。

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コメント

_ てらだ(補足) ― 2009/09/22 20:56

誤解があってはいけないので、補足しておきます。
ここに引用した子宮頸がんのデータについても、ほんと、鵜呑みにしてはいけないと思っています。何の検診にせよ、早期の軽い状態で見つかる人が増えれば、分母が増えて死亡率は低下して当然のようにも思えますし、この調査がどんな方法でおこなわれてどうやって結論を導き出したのか、記事では触れていないので詳細は分かりません。また、子宮頚がんのパップテストは若年女性に対しては不必要なのではないかと、あまりに早くから検査することに警鐘をならす報告もあるそうです。
(以下は、癌の情報Tipsに掲載された記事)
http://blog.goo.ne.jp/cancerit_tips/e/de91d74ca69e7f170b9833ae5a217702

でも、「誰がいつどんな調査をしてこういうデータが出た」と最低限の情報さえあれば、検討のしようもありますもんね。

_ nozomi ― 2009/09/22 23:24

TB、ありがとうございました。ご指摘、活動、お疲れさまです。

HPV検診でも、乳癌他のがん同様に過剰治療につながる可能性が示されてしまいました。
現在の医療では、そこまで確実に侵襲的ながんを発見、特定することは出来ないものですね。
FDAもいうように、「Too good to be true」なのです。(そんな夢のような機器や検査はない)
ご参考まで。
FDA「全身CTスキャンについて」パンフ
http://www.cancerit.jp/recommendation_file_pdf/pub_ctscan.pdf
(もう一つのページへのリンクが切れていますので、後日やり変えることにします。)

_ てらだ ― 2009/09/23 01:27

nozomiさん、コメントありがとうございます!
FDAの全身スキャンのパンフ、興味深く拝見しました。

実はわたし、これだけ進歩した画像検査も完璧ではないことを、身をもって体験しています。乳がん確定後の全身拡がり検査で異常が見つかって遠隔転移と診断を受け、当初ステージ4の前提で治療を開始、その後、白黒はっきりさせたくて生検をお願いし、別の良性腫瘍と判明したんです。
その良性腫瘍は現在まさに無症状ですが、場所がちょっとクリティカル。セカンド・オピニオンを求めた病院で、今のうちに摘出したほうがと助言を受けて傾きかけていましたが、無症状でそこまでやることの意義について疑問を持ちはじめています。

という個人的な話はさておき。

そういう体験はあってもわたしは医療の専門家ではないし、医学的なことを分かったような顔して語るべきではないでしょうが、それでも、事実として早期の検診についてまだよく分からないこと、不確かなことがあるのは間違いないかと。
にもかかわらず、ピンクリボンを掲げて検診を受けようと呼びかければ、それだけでいいことをしているかのような風潮が一部にあるのがどうにも解せません。
その挙げ句、発見が遅れた人や、異常を自覚しつつも家庭の事情や経済的、社会的事情で受診が遅れた人を、まるで愚か者のようにあげつらい、病を抱えた人をさらに鞭打つ。

乳がんに関して言えば、マンモを使った早期発見より前に、異常を自覚してもなかなか病院へ行かない理由をさぐり、受診の妨げになっている要因を取り除いていくこと、そしてセルフチェックの教育・普及に力を入れることを優先すべきなんじゃないでしょうか。
そうした方向で活動している良心的な団体もありますが、特に商売・マーケティングがからむ分野で、おかしな運動がまかり通っている気がします。
それを正しい方向へ引き戻すためにも、感情やイメージや雰囲気で物を語るのはいい加減やめにして、きちんとしたデータをきちんと読み込み、提示していく努力をするべきだと思います。

nozomiさんが地道に発信なさっている貴重な最新情報、今後大切に読ませていただきますので、nozomiさんもがんばってください!

_ nozomi ― 2009/09/23 23:42

お世話になっている医師からも2割くらいは治療の不必要ながんなのではと睨んでいる、と聞きました。医師でも見分けがつかないのですよね。見つかった以上、治療となる・・

てらださんの個人的体験と洞察力がてらださんを動かしているのでしょう。マンモの話もおっしゃるとおりと思います。

>その挙げ句、発見が遅れた人や、異常を自覚しつつも家庭の事情や経済的、社会的事情で受診が遅れた人を、まるで愚か者のようにあげつらい、病を抱えた人をさらに鞭打つ。

本当ですね。新しい視点です。医療者は国民に正しい認識とデータ(インフォームド・コンセント)を与えなければいけないと思います。

うちは主人が癌家系、子供達も必然的にそのおそれがあります。そして勤務先の会社では毎年徹底的な検診を行います。すでに社会に組み込まれ、病院も堂々と宣伝しています。こういった検診による一般市民への被曝は何十年後にがんを引き起こさないでしょうか?大腸ファイバーで体を傷つけることはないでしょうか。そして、過剰治療が行われないでしょうか。しかも、
死亡率が低下すると証明されていないのです。

肺癌のCT検診は裏付けがなく、世界で行っている国は日本くらいだそうです。

励まし、ありがとうございます。今後とも、よろしくお願いします。

_ てらだ ― 2009/09/24 02:59

nozomiさん、再びコメント、ありがとうございますー!

> 医師でも見分けがつかないのですよね。見つかった以上、治療となる・・

ですよねぇ。今の医学じゃ見つかったものがどうなるか、予測はつかないのだから、見つかっちゃったら治療してください、となって当然。ただ、ミクシィの患者会の書き込みを見ていると、副作用に耐えかねて抗がん剤やホルモン治療を途中でやめようと決意する人もなかにはいて、いろいろです。やめるにしても、お医者さんから勧められた治療を断るのは非常に不安で勇気が要ることのはず。乳がんは今悪性度や腫瘍のタイプで治療を変える方向に変わってきているようですが、患者それぞれに応じて何がベストなのか、少しでも不安のない治療法を選択していくには、データの積み上げを待つしかないのでしょうね。
各種検査も、技術の向上で早めに病気が見つかるのはありがたいことだけど、確かにご指摘のとおり、本当に体に害はないのかどうか、疑問はぬぐえません。そういう意味じゃ、乳がんの治療はある意味バクチだわと思っていましたが、どの検診をどう受けて自分の身体を守っていくかも、バクチと言えるのかも。どうせなら、難しいことではあるけれど、心配しすぎたり悲観せずに、バクチを楽しみたいもんです。心配するために生きてるんじゃなくて、人生を有意義にまっとうするために生きてるんだし。

こちらこそ、今後ともどうぞよろしく<(_ _)>

_ ぬこ ― 2009/10/05 15:50

てらださん、「コクラン共同計画」ご存知ですか。今やっているなかに出てくるの。今のところ英文しかないみたいだけど、「コクラン共同計画」のレビューは、当該治療(or診断法等)の是非について現時点で世界で最も信頼できる結論を発信しているといっていいんじゃないかしらん。

ここがサイト→http://www.cochrane.org/
で、たとえば「マンモグラフィーの効果について」なんてテーマだとすると、わかりやすい言葉でのサマリーと、本格的なレビューが両方見られるようになっています。
これがplane language版→http://www.cochrane.org/reviews/en/ab001877.html

適切なキーワードを入れてサーチすれば、欲しい情報はかなり拾えるのではないかしら。
(すでにご存知だったらごめんね)

_ てらだ >ぬこさんへ ― 2009/10/05 16:44

ぬこさん 情報ありがとうございます!
不勉強でまったく知りませんでした、「コクラン共同計画」。
これは見たところイギリスの団体なのでしょうかね。

リンクを貼ってくださったマンモ検診の項目、考えさせられます。本文中に書いた報告の詳細にも、一部同じような内容が書かれていたように思います。統計学の用語によわいので、データを深く読み込むことはできませんが、サマリー部分の次の下りは、思わずう~んと唸ってしまいます。

every 2000 women invited for screening throughout 10 years, one will have her life prolonged. In addition, 10 healthy women, who would not have been diagnosed if there had not been screening, will be diagnosed as breast cancer patients and will be treated unnecessarily. It is thus not clear whether screening does more good than harm.
(十年間にわたり検診をうけた2000人の女性のうち、寿命がのびるのは1人。さらに検診を受けなければ乳がんと診断されなかったであろう10人の健康な女性が、乳がんと告知され、不必要な治療をうけることになる。このように、害を上回る利益が検診にあるのかどうかは、定かではない)

とはいえ、ページにも書かれていたように、今の医療では「がん」と診断されたものが放置しておいても平気かどうかは分からないから、どうしても「治療する」となるんですよね。

ただ、ひとつ言えるのは、著者がサマリーの末尾に書いているとおり、「検診をうける女性には、利益と不利益のくわしい情報が提供されるべき」ということだと思います。

_ ぬこ ― 2009/10/05 17:42

イギリスが発祥のようですが、今やそこだけに留まらない国際的な非営利組織のようです。EBM推進の原動力のひとつといえるんじゃないでしょうか。過去の臨床試験の論文を網羅的に検索して、方法に問題のないものを選んで、それを統計手法で分析して(この辺の詳しいことはよくわからない)まとめたサマリーなんですって。

トップページのSearchのボックスにためしに"breast cancer"と入力したら693件ヒットして、マンモグラフィーはその上のほうで目立ったから紹介しただけです。たぶん、具体的な薬や治療法の是非について、現時点での見解がそれぞれにまとめられているんじゃないでしょうか。

思うに、こういう情報の日本語版があれば、医師にとっても患者にとっても非常に有益ですよね。情報が命の双子座としては(笑)、こういうのってすごいと思うなー。見たくない人は見なければいいし、知りたい人は知れるようになっているっていうのって、大事ですよね。日本語版製作プロジェクトなんていうのはないのかしらん。あれば及ばずながら参加したいところです。

服用中の薬の件にしてもなんにしても、ご興味のあるテーマがあれば、ここを探してみれば、少なくとも医師の言葉や伝聞や報道のみに頼ることのない(←ここ大事)最新の専門的かつ客観的な情報が得られることは確かだと思います。

_ てらだ >ぬこさんへ ― 2009/10/05 19:22

> 医師の言葉や伝聞や報道のみに頼ることのない(←ここ大事)最新の専門的かつ客観的な情報が得られる

はい、確かに、そこ大事!ですね。
すみません、論点を微妙に読み違えていました。

海外のこうした情報を日本語に訳して発信しているところはいくつかあります。
上でコメントをくださったnozomiさんも関わってらっしゃる「海外癌医療情報リファレンス」
http://www.cancerit.jp/xoops/
あるいは、アメリカのNCCNというところが出しているガイドラインを日本語に訳している「日本乳がん情報ネットワーク」
http://www7a.biglobe.ne.jp/~jccnb/index.html
あとは国内外の癌医療の最新情報を発信している「がんナビ」など。
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/

わたしはほんと不勉強で、これぐらいしか知りませんが、最新の医療動向を知りたい人は、活発に利用なさっているようです。
(他にもご存知の方がいらしたら、教えて~)

NCCNのガイドラインには、わたしも治療中お世話になりました。日本では2センチ以上の腫瘍が抗がん剤の対象とされることが多いのだけど、アメリカでは1センチ以上だと抗がん剤の適用だそうで、そんな違いにもびっくりでした。

_ nozomi ― 2009/10/05 20:51

コクランは、私も詳しくないですが、デンマークのようです。
日経ででていた「マンモ、3人に1人が・・・」の記事のMedscape版をアップしました。詳しいと思います。
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/cancer_reference/index.php?page=article&storyid=753

確かここの記事にコクランが出てきますよね。

英国でのマンモ騒動についても以下。
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/cancer_reference/index.php?page=article&storyid=754

みなさんの正義のための実行力、頭が下がります。

_ てらだ >nozomiさんへ:コクラン共同計画について ― 2009/10/06 00:40

コメント、ありがとうございました!

いえいえ、ちびりちびりと仕事の合間に言いたいことをポツポツ発信しているだけで、ほんとに活動といっても微々たるものです。が、細かな違いはあっても同じ方向を向いている皆さんに支えられ、小さいながらも流れは生み出していると信じたい!

コクランの件ですが、その後、上記でコメントをくれたぬこさんが詳しいメールを下さったり、参考リンクを教えて下さったりで、「コクラン共同計画」について少し分かりました。
日本語化を試みた人たちがいたようで、こんなサイトも。
http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~ebm/cochrane_contents.htm

それによると、「1992年にイギリスの国民保健サービス(National Health Service: NHS)の一環として」始まったもののようで、「Evidence-based medicine (EBM)の情報インフラストラクチャー」と位置づけされるものだそうです。

具体的には、ぬこさんが書いてくれたことの繰り返しになりますが、ある特定の疑問について、過去の信頼できる臨床試験の報告を吟味し、それをもとに今現在言えることを提示している活動といえるようです。
つまり、単発で報告される臨床試験の結果より、さらに広範囲にわたって精査した結論と言える様子。
だとしたら、確かにすごくありがたい情報群です。
それが、こうして一般人にも分かるかたちで公開されているのですから、すごいですね。

ただ、この日本語化の試みはストップしてしまったのか、英語のサイトで「最寄りのコクランセンター」のページをみると、日本の欄にはアメリカの団体へのリンクが貼られています。

もう少しくわしく調べてみようと思います。

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