「元気に見えても辛いカラダがあります」2009/07/17 17:34

知ってほしいキャンペーン キーホルダー

ご紹介するのがすっかり遅くなってしまいましたが
今日はこのマークについて。

がん経験者たちによって設立されたNPO法人HOPEプロジェクト
(サイトは◆こちら◆
手術直後や、抗がん剤治療中など
外見ではわからない痛みやつらさを抱えている人がいることを
理解してもらおうと作った、啓発用のキーホルダーです。
(上記の写真もHOPEプロジェクトさんに提供していただきました
 ありがとうございます<(_ _)>)

名付けて「知ってほしいキャンペーン」。(サイトは◆こちら◆
7月5日(日)の朝日新聞朝刊で大きく紹介されました。
(残念ながらデジタル化はされていない模様)

そもそものきっかけは、同NPOのメンバーで乳がん患者の女性が
外来で化学療法を受けた帰りの電車内で、空いている席を見つけて座ったところ
「マタニティーマーク」を持つ女性から「譲ってください」と言われたとのこと。
抗がん剤の副作用で吐き気などがあったものの、何も言えずに席を立ったそうです。

似たような話は、わたしの周辺のがん友さんや
ミクシィの患者会でもよく話題になります。

最近は、化学療法を入院して受けるのは稀になってきて
外来で、通院して受けている人が圧倒的なのは
このブログを読みにきてくださっている皆さんなら恐らくご存知でしょうが
世間一般ではまだまだ知られていません。

腫瘍摘出の手術も、入院期間は平均して約1週間。
都内では3泊4日で退院というケースも珍しくありません。
抜糸前の、あるいは抜糸したての、
手術で水がたまった胸をかかえて、電車に乗らなければならないなんて
想像しただけでコワい。
(あ、ちなみにタクシーを使う手もありますが医療費控除の対象にはなりません)

また、化学療法を受けているのは初期治療の人ばかりではありません。
初期治療であれば、化学療法は短くて3ヶ月程度から、長いと1年半ほどですが
再発・転移した人は、大抵エンドレスで治療を受けることになります。
しかも、骨転移して骨がもろくなり、激しい運動は控えてと言われているような人が
毎週通院して治療を受けていたりします。

さらに、がんは何も高齢者だけがなるものではなく
乳がんであれば40代後半がピーク、
子宮頚がんは30代がピークであり、
20代、さらには子供でも、がんを患う人がいることは
意外と一般的には意識されていません。

こんな風に、見た目には元気に見えても、痛みやつらさを抱えている人がいるのだと
広く社会に理解してもらおうと考案されたのがこのマーク、というわけです。

ただ、HOPEプロジェクトとしては「権利主張」のためだけに
このマークを使おうと考えているわけではないそうです。
朝日新聞の記事でも、理事長・桜井なおみさんのお話として
次のように書かれています。
「優先して座りたい、と権利を主張するつもりはない。
 病と共に歩む人に少しの思いやりを持ってほしいのです」
同NPOでは、がん体験者だけでなく、臓器移植を受けた人たちや
脳脊髄液減少症の患者にも、このキーホルダーを配布し、好評を得ているとか。

桜井さんとも直接、メールをやりとりして話をうかがいましたが
わたしのように幸い現在はいたって元気ながん経験者や
さらにはがんを患ったことのない人でも
病と共に生きる人の現状を広く社会に伝えようと思う人には
どしどしマークを利用してほしいというお考えでした。


その意味では、エイズのレッドリボンに近いのかなと個人的には思っています。

1994年に横浜で国際エイズ会議というのが開かれたんですが
わたしはそれにボランティアで少しだけ参加して、お手伝いをしました。
その時にもらったレッドリボンのシールを、普段持ち歩いている手鏡に貼っています。
シールをもらった時の説明で
レッドリボンは、「わたしは患者です」というマークではなく
エイズという病気について最低限の知識をきちんと持ち
HIV感染者/エイズ患者に差別・偏見を持っていませんという意思表示と考えて
と言われて、なるほど!と思ったからです。
当時(今でも?)、患者とあいさつのキスをしたら感染する?みたいな誤解が
まだまだ飛び交っていましたし。

去年おこなった署名活動の際、あ、ちょうど1年前の今頃ですね
つたない知識ながら、乳がんという病気についてあれこれブログに書きました。
署名活動をおこなったこと自体も、乳がんについてもっときちんと理解して!
という思いがあったのが、ひとつの大きな理由でした。
ですからわたしは個人的に今回のこのマーク、全面的に支持したいと思ってます。

ピンクリボン
乳がんへの理解を広めるためのマークかと以前は思っていたのですが
いつの間にやら、現在健康な人に乳がん検診の受診を勧めるための
シンボルマークになってしまった様子ですしね。

あ、余談ですが、検診のマークといえば
厚生労働省が立ち上げた「がん検診50%推進本部」では
上杉謙信に引っかけたイメージキャラクターを採用したそうな。


「知ってほしいキャンペーン」のキーホルダーは
桜井さんご自身、毎日付けて歩いてらっしゃって
これまでに何度か席を譲られたそうです。
そのときは、辛い状態ではなかったので
「今日は体調が安定しているので大丈夫です。
 お心遣い、ありがとうございます」と言って
説明のパンフレットをそっと渡されたとか。
(そのパンフのPDFは◆こちら◆

誕生したばかりのマークですし、
すでに世の中にはリボンやら何やら、数え切れないほどマークがありますし
まだまだいろいろ問題点もあるかもしれません。
朝日新聞にも、記事掲載後、7月10日の声欄に
「マークより言葉をかけ合おう」として意見が出ていました。
「人間には、マークで目に訴えなくてもコミュニケーションできる力が備わっています」
「子供たちにも、「マークを見て譲りなさい」ではなく、
 知らない人とも対話ができて、状況に応じた行動がとれるよう
 導いてあげることが大切だと思います」
まさにおっしゃる通り。
突き詰めれば、こんなマークがなくとも優しくスムーズに回る社会になれば
一番いいんですよね。
でも現状では、その言葉を絞り出す気力、勇気が出せずに
つらい思いをしている人がいる。
それに、わたし個人としても、がんという病気について
もっと広く理解を求めたいし、もっとオープンに語り合えるようになってほしい。
だから、ホントはシンボルマークに限らず
揃いのTシャツすら苦手なタチなんですけど
これは積極的にバッグにでもぶら下げて歩きたいと思っています。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

関連情報。
HOPEプロジェクトの桜井さんは、今年の5月
アメリカで開かれたNBCCFのカンファレンスに参加なさいました。
署名期間中に何度か紹介した「NBCC:全米乳がん連合」の姉妹団体です。
(過去記事:◆こちら◆◆こちら◆
その時のレポート「米国でアドボカシー・トレーニングを体験」が、
現在がんナビに連載されています。
とても興味深い記事なので、読んでみてみて(リンクは順次追加していきます)。
1回目は◆こちら◆
2回目は◆こちら◆
3回目は◆こちら◆
4回目は◆こちら◆
5回目は◆こちら◆
6回目(最終回)は◆こちら◆

コメント

_ (未記入) ― 2009/07/26 10:20

 ブログ訪問、ありがとうございました。
 私は卵巣がん摘出後、抗がん剤治療中です。
 知識不足ですから 病気についての記事はかけませんがリハビリと 離れて住んでいる身内に日々をしらせる目的でブログ発信しています。
 これから、訪問させて頂いて勉強したいと思っています。
 よろしくお願いいたします。

_ てらだ ― 2009/07/26 12:52

ご訪問、ありがとうございました。
抗がん剤で治療中とのこと、暑いなか大変かと思います。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。

_ pat ― 2010/07/29 12:29

はじめまして
良い情報ありがとうございます。
わたしも10数年に良性腫瘍で手術を受けたことがあり、腹部だったので、その後に電車に乗るのはつらいものがありました。
でもお腹見せて歩くわけにはいかないので、優先席は座れなかったですね。
でも 乱用されては意味がないので、交付にはきちんとした条件と審査が必要かなと思います。

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