映画「余命」-12009/02/18 01:31

お手紙発送プロジェクトについて報告してから早十日。
先週、映画「余命」を観てきました。今日はその話を。
長くなりそうなので、2回に分けます。
以下、ネタバレを含みまくっていますので、知りたくない方はパスしてください!

――――――――――――――――――――――――――――――――――

みなさんご存知のとおり、「余命」は谷村志穂の同名小説を映画化したもので
ヒロイン百田滴(しずく)を松雪泰子、その夫良介を椎名桔平が演じています。
谷村さんの小説は、当初2003~4年に週刊誌に連載されたもので
大幅な加筆・修正ののち、2006年5月に出版されました。
「余命一ヶ月の花嫁」が初めて放映されたのは、確か2007年7月。
こちらも今年5月に映画が公開予定で
わたしは当初、恥ずかしながら2つをごっちゃにしていましたが、全然別モノです。
こちらの「余命」は、外科医である滴が妊娠と同時に乳がん再発にみまわれ
「産みたい。でも、生きたい」というジレンマのなか
究極の決断を下すというお話です。

わたしが「余命」のことを知ったのは
この作品の宣伝キャンペーンについて友人から話を聞いたのが最初でした。
「映画『余命』を観て、奄美大島へ行こう!」というスタンプラリー
「『余命』賞」というのに当たると、映画にも登場する「奄美大島」へ
1泊2日の旅が1組2名に当たるそうな。
スタンプラリーの台紙には、うっすらとピンクリボンが印刷されています。
映画の公式HP(注:HPを表示すると予告編の音が流れます)
を見てみると、ピンクリボンのマークとともに、はっきりこう書かれていました。
「映画『余命』はピンクリボン運動の精神に賛同しています」

ふ~ん。でも、この主人公、子どもを産んで死ぬんだよね…?
そういうお話で「ピンクリボン運動の精神に賛同」と言われても
なんだかなぁ……というのが、第一印象でした。
「乳がんを患ったかわいそうな一人の女性が
 病とけなげに戦って死んでいく」お話には
ちょっともうウンザリなのです。
掲示板にも書きましたが
「乳がんを患った一筋縄ではいかない大勢の女性たちが
七転八倒しながらも病を抱えてしぶとく生きていく」
そんなお話があったっていいのに。

でも、小説も読まず、映画も観ずに、とやかく言うわけにはいきません。
そこで本を買って読み、映画も観てきました。
結論。
やっぱり「なんだかなぁ……」でした。
いえ、声を大にして批判するぞ!とかそういうんじゃありません。
わたしがひねくれてるのかなぁと思う部分もあります。
でも、この映画の製作委員会が
何をもって「ピンクリボン運動の精神に賛同している」と言っているのか
どうもよく分からないのです。それが率直な感想です。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

まず、本のほう。
なかなか楽しめる部分もあったんですよ。
妊娠中のセックスの話とか。
外科医としての滴のキャラも、こういう先生っていそうだなと思いましたし。
ただ、驚いたのが、彼女、誰にも再発したがんのことを相談せず
一人で出産を決意するんです。
わたしはまたてっきり、「産むか、生きるか」のジレンマを
夫や周囲の人間にぶつけ、巻き込みながら
みなで迷いつつ、悩みつつ、治療との両立を模索しつつ、協力しあっていく……
ってな展開かと思っていたら、全然ちがいました。
相談したところで反対されるだけと分かっていたからと
出産間近というのに、なんやかや言って夫を離島へ追いやり
一人でクリスチャン系の産婦人科病院へ行って産むんです。
もちろん、乳がんについては一切何の治療もせずに。

しかも、その病院で乳がんのことがバレてしまったあと
病床が不足気味であまり長期の入院は困るというシスターに
「がんの治療を始めるのなら、話は別ですよ」と告げられた滴は、こう言います。
「入退院を繰り返し、抗がん剤で毎日嘔吐するのは、今はやめておきたいな。
せっかくこの子を産めたんです」
そして「お世話になりました」と滴は退院していきます。

いえ、もちろん、小説として、映画として、そういう話はアリだと思います。
外科医ですからある程度の知識は持っているわけだし
仮に医者でないとしても、お話として、いろいろ考えた上で治療を拒否し
産むことを優先させるという決断もアリだと思うんです。
だいたい、この小説はおそらく「乳がん」がテーマの話なのではなく
生と死をめぐる話であって
「乳がん」はそれを描くための設定のひとつにすぎないのでしょうし。
でもだからといって、ピンクリボンをかかげる映画がこういうことでいいのか…?
早期に発見して、早期に治療を開始して…というのがピンクリボンの精神ではないの?
再発だから、もう手遅れだとほっとくわけ?
やれる治療もあるんではないの? こんなに治療に後ろ向きでいいわけ?
これ、考えすぎ?

一番引っ掛かったのは、次の場面でした。
滴は出産後、赤ちゃんと二人で家に引きこもり状態になります。
夫は、産まれたことすらまだ知らず、帰ってこない。
心配した同僚の外科医が訪ねてきたときには
滴の胸の腫瘍は皮膚をやぶって「花がさいた」状態になっており
膿みがニオイを放っていて、同僚はすぐに事態を察します。
そしてこう言います。
「他に方法だってあった。妊娠を継続するならするで、
 それだってできる治療はあった。
 このままでは、死なせませんから。友人として、私が許さない」

ええ? 本人の台詞ではなく、同僚の外科医にこう言わせるんだ!
とわたしはびっくりでした。
映画はこのあたりも忠実に、そのまま、再現するんだろうか?
それとも何か手を加えるんだろうか。
そのあたり要チェ~ック!と思いながら、映画館へ向かったのでした。

つづきは、あさってのお楽しみ

コメント

_ hikari ― 2009/02/18 18:01

はじめまして。

書いていらっしゃる感想に同感です。
私は元々、谷村作品をずっと読んできたのですが、これが「ピンクリボン活動」と結びつけた映画、というのには若干違和感をおぼえます。製薬メーカーも協賛してるし・・

乳癌、という病をはずしても、妊娠・出産で健診を受けずに(女性医師だから自前、という点はのぞいたとしても)、結局は産院へ"飛び込む"というのもどうかなぁと思ってしまいます。

ちょっと引用いたしますが、

「飛び込み出産であっても、こういった病院なら自分を受け入れてくれるのではないか。夫が付き添えず、検診を受けた記録がなくても、追い返さないでくれるのではないかと希望を繋いだ。」

うーーん、現在の産科医療を考えたら、こういう妊婦さんの考えは持って欲しくないですが・・・

つづきを楽しみにしております。

_ てらだ ― 2009/02/20 00:48

hikariさん、コメントありがとうございました。
(外出していて確認が遅れ、コメントの公開が遅くなってすみません)
トラックバックもありがとうございます。
ブログにおじゃまして、がんナビの関連記事を紹介してらっしゃるのを見て、つづきの記事で紹介させてもらいました。
コメントで引用なさっている箇所、わたしも気になりました。昨今そういう妊婦が増えていることが問題になっていますもんね。そのくだりも、映画ではきれいにカットされていました。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://pink-accountability.asablo.jp/blog/2009/02/18/4127277/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

_ ひかりのしま - 2009/02/18 17:49

こんなニュースをyahooヘッドラインで見ました。

松雪熱演!がん治療か出産か…映画「余命」

この「余命」の原作は、谷村志穂さんの「余命」です。
発売された時に読みました。
数年前に長編小説「海猫」も映画化されましたね。




余命 - 谷村志穂




海猫 -