お手紙プロジェクトのご報告2009/02/08 01:08


(写真は、最終発送分の49通です)

やっと本業のほうが一段落しました。
先月引いた風邪、39℃超えの熱が3日続いたのですが
4日目にひゅるひゅるひゅる~と平熱に戻りました。
もう大丈夫!と思ったものの、ふと鏡を見ると
目の下に見たこともないほど巨大なクマが2匹ぶら下がっているじゃないですか。
ひぃ~、高熱というのは体力を奪うのねぇと思ったものです。
ほんと、年齢には勝てません。その後、奪われた体力はなかなか戻らず
いくら寝ても眠い。ひたすら眠い。いや~、よく寝ました。
結局、お医者さんには行かずに済ませてしまったので
インフルエンザかどうか分からないんですが
まだ五十歳前のわたしですらこうなのだから
高齢者がインフルエンザにかかると、命の危険があって当然だと思いました。

それにしても、こんなの十何年ぶりです。
胸でがん子ちゃんが育っていた頃は
文字通り風邪ひとつ引いたことがありませんでした。
関係があるのかないのか、医学的根拠はまるでありませんが
風邪ひとつ引かずにがんができるより
たまにはこうして熱を出してデトックスできたほうが
健康と言えるかもしれないなと思えて
そう悪い気はしていません。

前置きが長い!

さて、「お手紙発送プロジェクト」です。
おかげさまで、現時点で送付したいところにはすべて送付し
こちらも一段落させることができました。

送付件数
最終的に、合計293件、送付しました。
内訳は以下のとおりです。

 企業:208件
 団体(財団法人、社団法人、NPO、役所など):33件
 乳がん関連団体および医療機関:10件
 出版・報道関係:31件
 10WOMEN&カメラマン:11件

送付方法による内訳は、以下のとおりです。

 郵送:270件(うち2件のみ\90)
 ファックス:21件
 メール:2件

切手のカンパ受付・使用状況

・プロジェクト開始時残:80円1枚、50円4枚
・IN分
  カンパ枚数:80円138枚
  購入枚数 :80円130枚、10円15枚
      小計:80円269枚、50円4枚、10円15枚
・OUT分
  1/24発送分:80円150枚
  1/25発送分:80円70枚、50円1枚、10円4枚(計71通分)
  1/30発送分:80円46枚、50円3枚、10円10枚(計49通分)
       小計:80円266枚、50円4枚、10円14枚
・プロジェクト終了時残:80円3枚、10円1枚

今回、全部で4人の方々にたくさんの切手をカンパしていただきました。
金銭的にももちろん助かりましたが、気持ち的に、とても励まされました。
ご協力、本当にありがとうございました。<(_ _)>
心からお礼を申し上げます。
残った切手については、追加で発送する際などに使わせていただきます。

反応
これまでに、5つの企業・団体から、お手紙、メールなどをいただきました。
300件近く送って、5件。
う~ん……。
10WOMEN&カメラマンさんからも、反応はありません。
ですが、ホームページやブログへのアクセス状況を見ると
送付した企業・団体がかなり見に来てくれている様子。
広く告知したいという目的は、ある程度果たせたと思っています。

反応があった5つのうち
1つは朝日新聞ピンクリボンフェスティバル事務局です。
事務局長さんから直々にお手紙をいただきました。
「デザイン大賞」について
患者や医療関係者の意見が取り入れられるようにしてほしいとお願いしたところ
今年から体験者の意見を反映できるように、すでに調整中とのことでした。
少しずつでも改善が実現するよう、祈っています。
事務局からは、お手紙と一緒に
ピンクリボンフェスティバルのノベルティグッズが送られてきました。
まさに「デザイン大賞」でデザインを公募して作られたグッズです。
ほかにもピンクリボンバッジなども同封されていました。
残念ながら、ストライプ・リボンの会の代表としては
「筋」の入ったピンクリボンしか身につけるつもりはないのですが
せっかくのお気持ちですので、ありがたく頂戴したいと思います。
この場を借りて、お礼を申し上げます。


お手紙発送は、署名活動を始めた当初から
「ここまではやりたい」と思っていたことでした。
それがひとまず無事に終了して、ほっとしています。
住所の拾い出しに始まって、発送に協力してくれた皆さん
ご協力、ありがとうございました!

これからも、細々とでもできる範囲で活動を続けていく予定です。
すでに気になっている案件が2、3。
皆さん、今後とも温かく見守ってくださいまし。
どうぞよろしくお願いいたします <(_ _)>

映画「余命」-12009/02/18 01:31

お手紙発送プロジェクトについて報告してから早十日。
先週、映画「余命」を観てきました。今日はその話を。
長くなりそうなので、2回に分けます。
以下、ネタバレを含みまくっていますので、知りたくない方はパスしてください!

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みなさんご存知のとおり、「余命」は谷村志穂の同名小説を映画化したもので
ヒロイン百田滴(しずく)を松雪泰子、その夫良介を椎名桔平が演じています。
谷村さんの小説は、当初2003~4年に週刊誌に連載されたもので
大幅な加筆・修正ののち、2006年5月に出版されました。
「余命一ヶ月の花嫁」が初めて放映されたのは、確か2007年7月。
こちらも今年5月に映画が公開予定で
わたしは当初、恥ずかしながら2つをごっちゃにしていましたが、全然別モノです。
こちらの「余命」は、外科医である滴が妊娠と同時に乳がん再発にみまわれ
「産みたい。でも、生きたい」というジレンマのなか
究極の決断を下すというお話です。

わたしが「余命」のことを知ったのは
この作品の宣伝キャンペーンについて友人から話を聞いたのが最初でした。
「映画『余命』を観て、奄美大島へ行こう!」というスタンプラリー
「『余命』賞」というのに当たると、映画にも登場する「奄美大島」へ
1泊2日の旅が1組2名に当たるそうな。
スタンプラリーの台紙には、うっすらとピンクリボンが印刷されています。
映画の公式HP(注:HPを表示すると予告編の音が流れます)
を見てみると、ピンクリボンのマークとともに、はっきりこう書かれていました。
「映画『余命』はピンクリボン運動の精神に賛同しています」

ふ~ん。でも、この主人公、子どもを産んで死ぬんだよね…?
そういうお話で「ピンクリボン運動の精神に賛同」と言われても
なんだかなぁ……というのが、第一印象でした。
「乳がんを患ったかわいそうな一人の女性が
 病とけなげに戦って死んでいく」お話には
ちょっともうウンザリなのです。
掲示板にも書きましたが
「乳がんを患った一筋縄ではいかない大勢の女性たちが
七転八倒しながらも病を抱えてしぶとく生きていく」
そんなお話があったっていいのに。

でも、小説も読まず、映画も観ずに、とやかく言うわけにはいきません。
そこで本を買って読み、映画も観てきました。
結論。
やっぱり「なんだかなぁ……」でした。
いえ、声を大にして批判するぞ!とかそういうんじゃありません。
わたしがひねくれてるのかなぁと思う部分もあります。
でも、この映画の製作委員会が
何をもって「ピンクリボン運動の精神に賛同している」と言っているのか
どうもよく分からないのです。それが率直な感想です。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

まず、本のほう。
なかなか楽しめる部分もあったんですよ。
妊娠中のセックスの話とか。
外科医としての滴のキャラも、こういう先生っていそうだなと思いましたし。
ただ、驚いたのが、彼女、誰にも再発したがんのことを相談せず
一人で出産を決意するんです。
わたしはまたてっきり、「産むか、生きるか」のジレンマを
夫や周囲の人間にぶつけ、巻き込みながら
みなで迷いつつ、悩みつつ、治療との両立を模索しつつ、協力しあっていく……
ってな展開かと思っていたら、全然ちがいました。
相談したところで反対されるだけと分かっていたからと
出産間近というのに、なんやかや言って夫を離島へ追いやり
一人でクリスチャン系の産婦人科病院へ行って産むんです。
もちろん、乳がんについては一切何の治療もせずに。

しかも、その病院で乳がんのことがバレてしまったあと
病床が不足気味であまり長期の入院は困るというシスターに
「がんの治療を始めるのなら、話は別ですよ」と告げられた滴は、こう言います。
「入退院を繰り返し、抗がん剤で毎日嘔吐するのは、今はやめておきたいな。
せっかくこの子を産めたんです」
そして「お世話になりました」と滴は退院していきます。

いえ、もちろん、小説として、映画として、そういう話はアリだと思います。
外科医ですからある程度の知識は持っているわけだし
仮に医者でないとしても、お話として、いろいろ考えた上で治療を拒否し
産むことを優先させるという決断もアリだと思うんです。
だいたい、この小説はおそらく「乳がん」がテーマの話なのではなく
生と死をめぐる話であって
「乳がん」はそれを描くための設定のひとつにすぎないのでしょうし。
でもだからといって、ピンクリボンをかかげる映画がこういうことでいいのか…?
早期に発見して、早期に治療を開始して…というのがピンクリボンの精神ではないの?
再発だから、もう手遅れだとほっとくわけ?
やれる治療もあるんではないの? こんなに治療に後ろ向きでいいわけ?
これ、考えすぎ?

一番引っ掛かったのは、次の場面でした。
滴は出産後、赤ちゃんと二人で家に引きこもり状態になります。
夫は、産まれたことすらまだ知らず、帰ってこない。
心配した同僚の外科医が訪ねてきたときには
滴の胸の腫瘍は皮膚をやぶって「花がさいた」状態になっており
膿みがニオイを放っていて、同僚はすぐに事態を察します。
そしてこう言います。
「他に方法だってあった。妊娠を継続するならするで、
 それだってできる治療はあった。
 このままでは、死なせませんから。友人として、私が許さない」

ええ? 本人の台詞ではなく、同僚の外科医にこう言わせるんだ!
とわたしはびっくりでした。
映画はこのあたりも忠実に、そのまま、再現するんだろうか?
それとも何か手を加えるんだろうか。
そのあたり要チェ~ック!と思いながら、映画館へ向かったのでした。

つづきは、あさってのお楽しみ

映画「余命」-22009/02/20 00:23

映画「余命」について、
製作委員会が「ピンクリボン運動の精神に賛同しています」と掲げているのは
どういう意味で賛同しているのか
気になって原作を読み、映画を観てきましたという話の続きです。

まず原作で、子どもを産んだ病院のシスターに
がんの治療を受けるべきではないかと言われた際、ヒロイン滴が言った台詞
「入退院を繰り返し、抗がん剤で毎日嘔吐するのは、今はやめておきたいな。
 せっかくこの子を産めたんです」は、
もっとプロの医者っぽい台詞に変えられていました。
詳しくは覚えていませんが
「やめておきたいな」というような投げやりとも取れる言い方ではなく
「放射線治療や抗がん剤治療で時間をとられることは避けたいと思っています」
みたいな言い方でした。

そして、がんの再発に気づいた同僚医師が言った台詞
「他に方法だってあった。妊娠を継続するならするで、
 それだってできる治療はあった。
 このままでは、死なせませんから。友人として、私が許さない」は、
カットされていました。

代わりに何度も出てきた言葉が
 「炎症性乳がん」
です。
帰宅後、原作をあらためてめくってみましたが
確か原作では出てきていない言葉です(間違っていたらごめんなさい)。

「炎症性乳がん」……。
胸の皮膚に炎症が出るタイプの乳がんとして
耳にしたことはあるように思いましたが
それがどういうものなのか、どれほど悪性度が高く、どういう治療があるのか
まったく知識がありませんでしたし
映画でも解説めいた台詞はありませんでした。

調べてみたら
がんサポート情報センターのサイトに
「渡辺亨チームが医療サポートする:炎症性乳がん編」という記事がありました。
その解説によると、炎症性乳がんとは、次のようなものだそうです。

炎症性乳がんは乳がんの1つですが、普通の乳がんのようにしこりははっきりせず、乳房の皮膚が赤く、熱を持って腫れ、むくみをともなって、ちょうど、見かけが乳腺炎のようにみえるため、このように呼ばれます。

炎症性乳がんを顕微鏡でみると、乳房皮膚のリンパ管に、がん細胞が広く入り込んで行くように増殖するため、リンパ管が詰まり、リンパ液の流れがとめられうっ滞を起こしてでき、「炎症の4大特徴」を伴うものです。

ただし、通常の乳がんとして腫瘤を作るように発症したものが、症状の進行に伴ってがんのリンパ管内への浸襲が進み、炎症性乳がんと似たような病態を示すこともあります。広い意味ではこうしたタイプも炎症性乳がんと呼びます。

乳がんのなかで発生頻度は1~4パーセントとされています。炎症性乳がんは、原発腫瘍の大きさや場所からの分類では最も進行したT4dで表され、ステージ分類でいうと3B期、3C期(鎖骨上リンパ節転移を伴う)、4期(遠隔臓器に転移を伴う)の可能性があります。

炎症性乳がんは、がん自体の悪性度が高く、また、リンパ管に浸潤しやすい性質を持つため、遠隔転移を伴う可能性が非常に高いと考えられています。従来の治療方法では、予後が極めて悪く、5年生存率は約30パーセントという報告があります。

つまり、乳房皮膚のリンパ管にすでに浸襲しているがゆえに
炎症が起きたような状態になるわけで
発見された時点でもう全身に転移している可能性がきわめて高い
ということになるようです。

治療方法については、上記のリンク先に実例も紹介されていますが
次のような治療が一般的だそうです。

炎症性乳がんは、すでにがんが全身に飛び散っている可能性が高く、また、乳房も切除範囲を正しく決定することが困難なため、手術を最初に行うことはありません。薬物療法を行い、引き続き放射線照射を行う場合が一般的です。

薬物療法は、抗がん剤治療を中心に行いますが、HER2タンパクが陽性の場合には、ハーセプチン(一般名トラスツズマブ)という分子標的薬を使用します。ただし、局所の症状を和らげるために、手術や放射線治療を行う場合もあります。

いろいろ解説を見る限り、
原作に比べて、「余命は長くは見込めない」形に絞り込まれたような感があります。
そして、滴も外科医としてそのあたりのことは充分承知していたという作りに
修正されたようです。
当然といえば当然の軌道修正だと思います。
クレームがつくのは避けたいところでしょうし。
ただ、炎症性乳がんといってもいろいろなケースがあり
治療が奏功することも多々あることを、みなさんお忘れなく。

な~んて。
わたしは医療従事者でもなんでもないので
これまで、あまり専門的な部分には立ち入らないようにしてきたつもりです。
が、今回は長々と引用までして「炎症性乳がん」について書いてしまいました。
なぜかというと、上記のような医学的解説が映画の中には一切なかったからです。
パンフレットも購入しましたが、そこにも解説はありません。
「炎症性乳がん」はもちろん、乳がんについても、マンモ検診についても
さらに言えばピンクリボンのマークすら、パンフにはありませんでした。
映画のほうにはクレジットのあとにピンクリボンのマークがあったんですがね。
パンフの巻末には、映画のクレジット内容が印刷されていて
医学監修を依頼した著名な先生方のお名前がならんでいますが
映画の監修をお願いしただけで終わり
パンフに乳がんについて書こうといった考えは浮かばなかったか、却下されたようです。

でも、映画「余命」はピンクリボン運動の精神に賛同し
興行収入の一部を日本対がん協会の「ほほえみ基金」に寄付する予定だそうです。
主題歌をうたったtwenty 4-7も、売上金の一部を寄付することにしたとか。
(関連記事は◆こちら◆

う~ん。
製作委員会が、何をもってピンクリボン運動に賛同しているのか
やはりわたしにはよく分かりません。
乳がんを扱っていて、寄付をすれば、宣伝に使っていいということ?
そう感じてしまうのは、ひねくれているんでしょうか。
映画を観た人が、妊娠中のがん発見や、炎症性乳がんに対して
偏見をもつのではないかという恐れは抱かなかったのでしょうか。
「ほほえみ基金」に寄付するということは
炎症性乳がんの治療法の研究・開発というより
早期発見のための検診事業の支援が主になるような気がするのですが
どうなんでしょう。
せめて「一部」とはどれぐらいなのか、
寄付の報告はきちっと出してくれるといいのですが。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

製作委員会さん、もしかして宣伝戦略をあれこれ迷われたんでしょうか。
つまり、ピンクリボン=乳がん路線で売り込むか、出産=母と子の物語で行くか。
2月1日には
「映画『余命』公開記念 赤ちゃんへのラブレター ~まだ見ぬあなたへ~」
と称して掲示板を開設されています。
「母になるあなたから、生まれてくる赤ちゃんへのメッセージを、
以下のフォームから投稿してください。
あなたの愛が、日本中の新米ママを勇気づけます」だそうです。

あ、そうそう、その路線で言えば。
先日がんナビに非常にタイムリーな記事が出ていました。
「妊娠中と産後1年間の乳がんでも早期診断と早期の治療開始が大切」という記事です。
おとといの記事にコメントをくださった方のブログにも
「妊娠中の乳がん治療:妊娠継続しつつ積極的治療という選択肢も」
というがんナビの関連記事が紹介されていました。

また、最近知ったのですが、アメリカや海外には
がんを患った妊婦を支えようという団体もあるんですね。
たとえば、“Hope for two – the pregnant with cancer network”
(2人のための希望-がんのある妊婦のネットワーク)では、
妊娠中にがんを告知された女性に、情報とサポートと希望を与える活動をしているそうです。
赤ちゃんを無事に産んで、治療もして元気に過ごしている人が大勢いて
そういう人たちが「先輩」としてアドバイザーになり、支えてくれるとか。

妊娠中にがんが分かったら……。
想像しただけでも大変ですが
こうした情報を見ていると絶望することはないと思えます。
わたしの知人にも、妊娠中に乳がんが見つかり
無事に赤ちゃんを産んだ人がいます。
そのあたりの出産とがんをめぐる情報も
映画にもパンフレットにも一切出てきません。

役者さんの演技はなかなかすばらしかったと思いますし
奄美大島もきれいだったし、滴たちの家もレトロな雰囲気でステキでしたが
ピンクリボンをかかげた映画としては、わたしは「なんだかな」が結論でした。